- ディクロー(抜爪)というものをまず知ってほしい
- ディクローとはどのようなものか
- なぜディクローが施されるのか。その身勝手な理由。
- ディクローされた猫のその後
- 先進国の多くがディクローを禁止している
- まとめ:必要だから猫には爪がある
ディクロー(抜爪)というものをまず知ってほしい
どうも猩々猫(@showjyoneco)です(=^・・^=)
先日ネットニュースで以下の記事が流れました。
猫の爪の除去手術。そんな物があることを、皆さんご存じだったでしょうか?
この手術は「ディクロー(抜爪)」と呼ばれています。
僕は元々オジー・オズボーンのファンでもあるし、皆さんにディクローについて知っていただく良い機会だと思い、今回この記事を書かせていただきました。
ディクローとはどのようなものか
ディクロー(抜爪)とは、人間で言うと指の第一関節から先を切除する手術です。
このようなイメージです。
いかがですか? ご自身に置き換えて見た時、今後これがストレスにならないなんて考えられるでしょうか?
こちらが実際の施術の図解。
猫の爪というものは人間とは違い、骨と繋がっていて神経や血管も通っています。それだけ重要な器官ということになります。それをこの手術では、爪が繋がった骨ごと、関節から先を切除するのです。
当然ながら、この手術を行った猫はもう一生爪が生えてくることはありません。
なぜディクローが施されるのか。その身勝手な理由。
そもそも、なぜディクローが施されるのか。
様々な理由がありますが、どれも猫の生態、そして気持ちを考えたものとは思えません。例を挙げて紹介します。
ほとんどが人間側の身勝手
- 飼っている猫が攻撃性が高く、引っ掛かれて痛い。
- 家具で爪を研ぐので困る。新築なので柱などを傷つけられたくない。
- 引っ掛かれた時に免疫性の疾病に罹らないか心配。
ディクローを施す理由。様々なものが挙げられていますが、大きく分けると以上の3つに集約するのではないでしょうか。はっきり言ってどれも人間側の都合、身勝手だと僕は思います。
猫が人間に攻撃するのは、怖いからです。またはストレスを感じているからです。もちろん狩りをする時には爪を使いますが、人間に対してそれはあり得ません。
普段は大人しいのに急に引っ掛かれた、という場合は「猫が触ってほしくなかった」ということです。それは単に眠かっただけかもしれませんし、体調が悪いのかもしれません。「乱暴な猫だ!」ではなく、「どこか具合が悪いのかもしれない」と心配してあげてください。
また家具等への爪とぎは猫を飼う上で必ず直面する問題ですが、これも根気強く躾ていけばほぼ爪とぎで爪を研ぐようになります。
爪を研いで良い場所、いけない場所を理解させるのが飼い主としての責任です。それを放棄して「爪を切除すれば良い」なんてあまりにも短絡的です。
免疫性の疾患についても、猫アレルギーを始めとするアレルギーがあったり、免疫的に弱い方などはやはりペットを飼うこと自体に慎重になるべきです。
また「極度に爪切りを嫌がる猫に無理やり爪切りをするよりディクローした方がストレスにならない」という意見もありますが、これにも僕は否定的です。なぜならディクローをすること自体、その後の猫にとって大変なストレスになることはほぼ証明されているからです。
ディクローされた猫のその後
ディクローされた猫がその後どうなるか。
猫たちはストレスを抱えて過ごすことになります。ストレスフリーなどということはあり得ません。程度の差です。ディクローされた猫に見られる変化をまとめると以下のようになります。
- 痛みが残る
- 歩行困難になる
- トイレが上手く使えなくなる
- 攻撃性が増す
- 寿命が短くなる
現在は炭酸ガスレーザーを用いて「無痛」を謳っている動物病院もありますが、やはり多くの猫は施術された手を触られるのを嫌がるようですし、手を用いた行動も減るようです。これは明らかに痛みが残っているためと考えられます。
また旧来通りの手術用メスや電気メスを用いて手術された猫は余計です。
痛みから飼主への攻撃性が増したり、噛むようになったりすることを報告されています。攻撃手段が「噛む」ことのみになるのですからある意味当然です。
また前述したように、猫の爪には神経や血管が通っており、大切な「感覚器官」でもあります。そのためトイレの砂を上手く掘ることができなくなり(痛みを伴っていることも考えられます)、粗相をしてしまうようになる猫もいるようです。
そして一番問題なのが「寿命が短くなること」です。これはストレスから寿命が短くなるばかりではなく、前述したように返って問題行動が増えてしまい、結果捨てられたりする子が増えるからだそうです。
先進国の多くがディクローを禁止している
先進国、特にヨーロッパ各国では「ペット動物の保護に関する欧州協定」(The European Convention for the Protection of Pet Animals)に基づき、批准した国の多くがディクローを禁止しています(出典:wikipedia)。
それに対して世界最大のペット産業を有するアメリカでは、ディクローが逆に30億ドルにもなる巨大市場となってしまっています。そのアメリカに対して行われたキャンペーンが、冒頭のオジー・オズボーンの記事です。ですが近年では州法としてニューヨーク州やニュージャージー州などにおいて、ディクローの禁止や施術した飼い主や動物病院に対して罰金を科すなどの法律が成立、または成立へ向けて議論されています。
参考:CNN.co.jp : 米NY州議会、猫の爪除去禁止法案が通過 成立すれば全米の州で初
日本の場合
では、日本ではどうなのでしょうか。
残念ながら法的にディクローを禁止する法律はありません。公益財団法人「日本獣医師会」によると
「飼育者の都合等で行われる断尾、断耳等の美容整形あるいは声帯除去術、爪除去術は、動物愛護・福祉の観点から好ましいことではない。(中略)したがって、獣医師が飼育者から断尾・断耳等の実施を求められた場合には、動物愛護・福祉上の問題を含め、その適否について飼育者と十分に協議し、安易に行わないことが望ましい。しかし、最終的にそれを実施するか否かは、飼育者と動物の置かれた立場を十分に勘案して判断しなければならない」
(小動物医療の指針)
となっています。要するに「最終判断は飼い主の責任」ということです。
ですが、悲しいことに現在の我が国の動物病院やペットショップの中にはそういったことを説明するどころか、積極的に施術を勧めるところが存在します。
そのような所では、さもディクローが「飼主にも猫のためにもなる」かのように説明されます。その言葉を鵜呑みにしてしまって、後から後悔される飼主さんもおられるのが実情なのです。
まとめ:必要だから猫には爪がある
これまで紹介してきた通り、ディクローは猫のためにはなりません。
もちろん賛否両論があり、中には「施術して良かった」と仰っている飼主さんがおられるのも事実です。ですが、物言えぬ猫自身が「やってもらって良かった」と果たして思っているでしょうか。
猫を愛し、猫と友人でありたいと思うならば、答えは自然と見つかるはずです。
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