漆に肉芽腫が見つかりました。
どうも猩々猫(@showjyoneco)です。
現在我が家には総勢8匹の猫が居ます。我が家の飼い猫である5匹と、預かりボランティアでお世話している3匹です。
今日は我が家の飼い猫の中で末っ子にあたる漆(うるし)についてのお話しです
漆は現在2歳の男の子。2017年の初冬に保護しました。
健康診断で6か月程度と診断されたため、誕生日を5月5日としました。そのくらい元気な子だったのです。
しかし、気になることがひとつ。ごはんを食べるとき、しきりに口の中を気にするのです。もちろん健康診断の時に獣医の先生には相談しました。しかし、「口内炎か何かあるようだが気にしないで良い。猫には多く見られる疾患だし、いずれ改善すると思う」とのことだったのです。
そのまま、2年。
前述のように本当に元気な子だったので、あまり深刻に考えることもなく過ごしてきました。
それが、1か月前くらいから口の中の気にする様子が顕著になり、エサを食べなくなってしまったのです。食欲が無いのではなく、食べたいのだけども口の中が痛くて食べることが出来ない。明らかにそういう様子でした。
これまでに口の右側奥、右頬の裏側に出来物があることを僕らは確認していました。
再度、かかりつけの獣医さんに相談したところ液薬が処方され「改善しないようであれば抜歯するしかない」との説明でした。
「抜歯? 出来物そのものを取るのではなく?」
正直、そう感じました。
実際調べてみると、抜歯は口内炎の治療でよく行われる施術でした。
しかし、漆の場合は「口の中の出来物」です。
もっと他に治療法があるのではないか。そう思いつつ処方された液薬を与えていたのですが、そんな時に保護猫の活動をしている知り合いから「近くに犬猫の口腔治療に力を入れている病院がある」という話を耳にします。
電話で問い合わせたところ、詳しく話を聞いてくれ「その出来物を切除することになる可能性が高い」との見解でした。とにかくまずは実際に診たいので連れてきてほしいということになり、そのまま受診の予約をとりました。
結果、漆の出来物は「肉芽腫」と診断されることになります。
前置きが長くなりましたが、今日は猫によくみられる口内の病気、「口内炎」と「肉芽腫」についてお話しします。
猫の口内炎 ~恐ろしい慢性疾患
猫の口内炎は猫全体の6~7%に見られる症状です。
人間の口内炎と違い、治りにくく、再発を繰り返すのが特徴です。そのため猫の口内炎は「難治性口内炎」と呼ばれています。
残酷な現実なのですが、一度罹ったら「治らない」と覚悟しましょう。できるのは対症療法だけです。ほとんどの場合、生涯付き合うことになる慢性疾患なのです。
猫の口内炎の原因
猫の口内炎の原因は様々あり、それが複合的に絡んでいることも珍しくありません。
その主な原因としては
- 免疫の過剰反応
- アレルギー
- 細菌の感染
- ウイルス
- 免疫低下
- 栄養状態
などが挙げられます。
治療法
猫の口内炎の治療には「内科治療」と「外科(歯科)治療」の二つがあり、そのどちらか、または同時に両方が施されます。
まずは内科治療が試され、改善が見られない、もしくは治療効果が希薄になったりした場合に外科(歯科)治療が検討されることが多いようです。
内科治療
ステロイド剤や抗生剤を投与することが柱となります。
しかしながら治療は長期間に及ぶため、徐々にその効果は薄れていきます。
特にステロイド剤の長期使用は効果が希薄になるだけでなく、肝臓に負担をかけ、ホルモン異常や皮膚病を引き起こしたりと二次的疾患の原因となります。
アレルギーが原因の場合、食餌療法が取られることもあります。
外科(歯科)治療
全臼歯抜歯や場合によっては全抜歯が施されます。
内科治療と違い、根本治療につながる可能性があります。
口腔内の細菌の90%は歯石と歯垢、歯の表面に存在しています。抜歯することによって口内の細菌の数が減り、口内に炎症が発生するのが抑制されるのです。
抜歯後すぐに症状が改善するわけではなく、数か月から2年ほどをかけてゆっくりと快方に向かっていきます。
この外科(歯科)治療は全体の8~9割の症例で効果が認められています。
ただし、エイズや白血病等のキャリアとなっている猫がこの治療を受けると、免疫不全が生じて返って重大な健康被害を引き起こすことがありますので注意が必要です。
実際の治療の様子を記した動物病院の記事がありましたので、参考にしてください
猫の肉芽腫
さて、我が家の漆に出来ていたのがこの「肉芽腫」になります。
口内炎と同じく、食事の際の違和感となるため食欲が落ち、場合によっては死に至る恐ろしい疾患です。
肉芽腫と言っても症状は様々で、その呼称もいくつかあります。
代表的なものは「好酸球性肉芽腫」「化膿性肉芽腫」「線状肉芽腫」の3つです。
それぞれアレルギーであったり、何らかの原因で口内を傷つけてしまったことにより細菌が繁殖して炎症を起こし、それが目に見える形まで大きくなったものが肉芽腫となります。
その中でも漆は「好酸球性肉芽腫」の可能性が最も高いという診断結果でした。
好酸球性肉芽腫は腫瘤となることはあまりない肉芽腫です。もしその通りならば漆はかなり珍しい症例ということになりますね。
実際に漆の口内の細菌をまず調べたのですが、普通の猫とは比べ物にならないくらい膨大な数の細菌が確認されました(画像が無くて申し訳ない)。
各肉芽腫については以下のリンクを参考にしていただいて、ここからは実際に漆に施された治療について書いていきます。
参考:
平成元年10月10日 検査
前述の口腔治療に力を入れている動物病院での検査。
当日は鎮静剤を打ち、暴れることのないようにしてから口腔内を検査します。
口の中を見せてくれる子なら鎮静剤を使わなくて済む事もあります。
結果は先ほども書きましたが「好酸球性肉芽腫」の可能性が最も高い。
ただし、悪性の腫瘍である可能性もゼロではない。
とにかく腫瘤は外科手術によって切除し、組織を病理検査へ回すということに。
当日そのまま手術は行いません。
まず7日間かけて口内を除菌します。そうしないと手術の際に、悪い菌が体内に入り込み内臓にダメージを与える可能性があるからです。そこまでにならなくても手術痕が化膿したりする可能性が高くなります。
上がその際の説明に用いられた手術概要の絵と費用見積もり。
雑に描いてあるのでなにがなんだかでしょうけどw、要は「もし悪性の腫瘍だったらいけないので、切除後は縫合はせずに止血のみ。病理検査の結果を見てからその後の治療方針を決めましょう」ということでした。
10月14日~10月20日 除菌
翌日から7日間、1日1回の除菌薬の投与となります。
先生曰く甘い味の粉薬で「餌に混ぜて与えてもいいけど、なるべくそのまま、もしくは水に溶かして与えてほしい」との指示。
「美味しいからそのままペロペロする子も多いですよ」
漆は全く見向きもしませんでした(;^ω^)
水に溶かしてスポイトで与えることを試みましたが、これもダメ。吐くし(;^ω^)
結局おやつに詰めて与えることに。
それでもやはり味が変なのかなかなか食べてくれません。
妻が苦労してなんとか7日分飲ませてくれました。
10月22日 手術
注意!:以下に手術の画像を貼っています。苦手な方はお気を付けください。
いよいよ手術当日です。
朝いちばんで連れて行って、夕方引き取りに戻ります。
僕らは何もすることがないので、気を紛らわすためにあちこち買い物へ。
ほどなく妻の携帯に「16時30分に迎えにくるように」との電話が入りました。
手術の結果は問題なし。病巣である肉芽腫は全て取り除いてもらいました。
以下がそのその手術の画像です(医院撮影)。
肉芽腫の様子。
切除後
漆は珍しい多歯だったそうです(;^ω^)
切除された腫瘤。結構大きい。そりゃこんなのが口の中にあったら食べにくいよね。
こうして無事手術は終了しました。
同時に調べてもらった血液検査も異常なし。
後は病理検査の結果待ち。悪性でないことを祈るのみです。
また追って結果は追記いたします。
※令和元年11月4日追記
漆の病理検査の結果は「炎症性肉芽腫」であり良性とされました。
ご心配いただいた皆様、本当にありがとうございました。
そして今回、こちらの病院を紹介してもらったことも感謝しかありません。
紹介してくださったのはネットを通じて知り合った保護活動されてる方なので、改めてネットの力を認識しました。
まとめ
今回、治療費は上に貼った写真の見積もり通りになりました。
かなりの高額ですが、同様の治療を東京などで受けた場合は倍以上になるようです。良心的な治療費だとは聞いていましたが、本当にありがたかったです。
なにより説明が丁寧! きちんとこちらの同意を取り付けてからでないと治療には入らないという姿勢には好感を持ちました。
猫に限らずペットが一度病気やけがになってしまうと、高額な治療費が発生する場合が多いのが現実です。
それでも大切な家族です。出来ることはしてあげたい。
悲しいことですが、そうでない判断をされる人も居ます。
大切な家族がその一生を全うできるようにしてあげること、それが飼い主の務めであり、当たり前のことだと思います。
僕、頑張ったよ!
うんうん(´;ω;`)
私も頑張ったわよ!(# ゚Д゚)
う・・・うん(;^ω^)
なによ! 漆に除菌の薬飲ませるのどんだけ大変だったか!(# ゚Д゚)
漆は偉いなあ、除菌頑張ったなぁ・・・よしよしヾ(・ω・`)
だ・か・ら・ね(# ゚Д゚)
・・・よしよしヾ(・ω・`)
キーーーーーーーッ!(; ・`д・´)
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