『知らない』という恐怖
今朝の話です。
僕はいつも出勤前にはNHKを流しっぱなしにしてるのですが、その「おはよう日本」の中で「サンゴに優しい日焼け止め」というものが紹介されていたのです。
「ん？ どゆこと？」と思ってちょっと意識して聞いていたところ、なんと『日焼け止めを塗って海に入ると、サンゴの白化現象を進めてしまう』とか言ってるじゃないですか。
僕たち夫婦は沖縄が大好きで、毎年のように訪れています。そして何も知らずに普通に「SPFとPAの値と価格」だけで選んだ日焼け止めを塗って、シュノーケリングなど海にザブザブ入っていたのです。
急いで調べた限りでも、パラオやハワイなどではすでに日焼け止めの使用が規制され始めていますし、実際に日焼け止めに含まれる化学成分がサンゴに与える悪影響についての科学的データや記事をいくつも見つかりました。
さらには、日焼け止めが人体そのものにも悪影響があるという記事まであるじゃないですか。
もう、これにはびっくりです。「知らない」ということが、大好きな沖縄の海を傷つけていたのです。
その情報をどう処理するのか
このような話になるとすぐ話題になるのが、情報の信頼性です。「〜の可能性のある」とした情報も鵜呑みにして信じる人も居るし、眉唾だとして訝しむ人も居ます。
現実に「地球が丸い」ということをフェイクだとして信じない人も確かに居るのです。
結局、世の中に溢れてる情報をどう受け止め、どう処理し、どういう行動に繋げるのか、それはその人その人の判断によるものとなります。
ある仮定や理論に出会った時、その内容にどれだけの裏付けを求めるのか、それは人それぞれでしょう。そしてここが一番の曲者なのですが、「その情報が自分にとって都合の良いものか」で、求める裏付けは随分と変わるのです。
ろくなデータもないまま「身体に良い」「痩せる」とメディアで取り上げられた食品が翌日には店先から消え、後に「効果は認められない」と発表されたりすることが過去何度あったでしょうか。
逆に「都合の悪いことは全てフェイク」としてその反証も行わない人がなんと多いことでしょうか。それもかなり社会的地位の高い人に。
ウミガメの鼻に刺さったストロー
そういった情報の処理で記憶に新しいのが、「ストローが鼻に刺さったウミガメ」の写真です。センセーショナルな映像だったために、瞬く間に世界に広がり、あるムーブメントを生み出します。それが「プラスチック製ストローの廃止」という動き。
このムーブメント、皆さんはちょっと変だと思いませんか？ 僕は思います。本来なら「プラスチックごみが海に廃棄されないようにする」ムーブメントとならなければならないのに、それがなぜかストローに特化してしまう。映像という情報の持つ力と、その情報を咀嚼する受け手の捉え方、それが如実に出た一例です。
僕はそのムーブメントが悪いと言っているのではありません。この亀の写真という情報を「プラスチック製ストロー廃止」という結論に結び付けた人が最も多かった、というだけの話ですから。良い悪いの話ではないのです。ただ僕の感覚からすると多くの人が出した結論と僕の結論との間に違和感があったというだけのことです。もし広がった写真が「クラゲと思ってポリ袋を食べるウミガメ」であったなら、どんなムーブメントが起きていたのでしょうね。
きちんと自分の答えを出そう
話を戻して、日焼け止めがサンゴを殺すという話です。その情報を得て、あなたはどのようにこの情報を扱うでしょうか。「そんな大げさな」と取る人も、「一刻も早くそんな日焼け止めは販売停止にしなきゃ」と取る人も居るでしょう。
そこで僕の出した答えですが、「知ってしまった以上、やはり従来の日焼け止めの使用はやめよう」ということになります。今日色々と調べましたが、やはり「自分がサンゴを傷つけている可能性がある」というのであれば、それは控えようという結論です。それは単純に「使うとなんだか気持ちが悪い、申しわけないような気持ちになる」のが嫌なだけなのかもしれません。
しかし、みんながそういった点を落とし所に、答えを出しているのではないでしょうか。それでいいと僕は思います。
いけないのは、自分なりの答えを出さないこと。見て見ぬふりをすること。誰かの答えに安易に同調してしまう事。
「これが自分の答えだ」＝「これが自分だ」。アイデンティティってそういうことなのではないでしょうか。
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